それまで恋に恋していた私が、人生初の本気の恋をしたのは、19歳の夏でした。

それまで恋に恋していた私が、人生初の本気の恋をしたのは、19歳の夏でした。
相手は元舞の海関、今は、スポーツキャスターとして活躍していらっしゃる舞の海秀平さん、もしくは沖縄出身のバンドBEGIN(ビギン)のボーカル比嘉栄昇(ひが えいしょう)さん似の、ちょっぴり小太りの男性で、私がバイトをしていたホームセンターの正社員でした。
第一印象は
「あ、この人、絶対彼女いないな。」
でした。
こう言っては失礼ですが、芋っぽかったのです。

けれど私は彼に一目惚れしました。
その性格にやられてしまったのです。
彼はさり気ない優しさを、さり気なく表現できる人で、いつもニコニコと笑っている温和な性格の持ち主でした。
その性格は、車の運転にも表れていて、とても優しく、助手席に乗っていても安心していられました。
更にユーモアのセンスは絶品で、いつも『上手いこと言うなぁ』と感心しながら笑い転げていました。
彼といると時間を忘れるくらいに楽しく、心が温かな気持ちで満たされていくのを感じ
「これはもう、告白するしかない!」
と決心しました。

しかしそれまでの私は恋に恋していたので、付き合うことはあっても、こんな風に真剣な気持ちになった事はなく、今更ですがどう告白したら良いのか分からなくなってしまいました。
悩んだ挙句、恋愛経験豊富な友人に相談し、友人に彼の役をやってもらい、車の中というシチュエーションで告白の特訓をしたのです。
一応、私の読みでは、彼女はいない設定でしたので、それで練習を重ねました。
ちなみにシナリオは恋愛経験豊富な友人が作りました。

私「○○さん(彼の苗字)って優しくて面白くて、一緒にいるとあっという間に時間が経っちゃう。
○○さんって彼女いるんでしょう? 彼女が羨ましいな〜。」
特訓ではここで、彼が
「え?彼女なんていないよ?」
と答える設定になっていました。
そして私が大袈裟に驚いて、もじもじと告白をするという流れでした。

満を持した夜。
彼に送ってもらう車の中で、私はもう何十回も頭の中で繰り返した台詞を口にしました。
「○○さんにって彼女いるんでしょう?」
『うん、いるよ。』
は?
は?
耳を疑う返事が返ってきて、私の告白は見事に玉砕したのでした。